覚えにくい採血管の問題についてまとめてみました。
こんにちは、あずまです。
採血管の基本事項をまとめてみました。
まずは、こちらの過去問をどうぞ。
104B37:輸血用赤血球製剤に使われている抗凝固薬はどれか。
a t-PA
b ワルファリン
c ヘパリンナトリウム
d クエン酸ナトリウム
e エチレンジアミン四酢酸〈EDTA〉
102F8 :血球検査で正しいのはどれか。
a 貧血のスクリーニング検査になる。
b 採血にはへパリン入り採血管を用いる。
c 採血後には採血管を氷上に静置する。
d 平均赤血球容積はヘモグロビン値/赤血球数で求める。
e 網赤血球数は塗抹Giemsa染色標本で測定する。
101B86:血液検査項目と抗凝固薬の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
a 赤沈--------------------------ワーファリン
b 血小板 ---------------------- EDTA
c プロトロンビン時間 ------ ヘパリン
d 血糖 -------------------------フッ化ナトリウム加EDTA
e 動脈血ガス分析 ----------- クエン酸ナトリウム
どうですか?
スラスラ解けましたか?
↓解答です。
104B37:輸血用赤血球製剤に使われている抗凝固薬はどれか。
a t-PA
b ワルファリン
c ヘパリンナトリウム
d クエン酸ナトリウム
e エチレンジアミン四酢酸〈EDTA〉
102F8 :血球検査で正しいのはどれか。
a 貧血のスクリーニング検査になる。
b 採血にはへパリン入り採血管を用いる。
c 採血後には採血管を氷上に静置する。
d 平均赤血球容積はヘモグロビン値/赤血球数で求める。
e 網赤血球数は塗抹Giemsa染色標本で測定する。
101B86:血液検査項目と抗凝固薬の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
a 赤沈--------------------------ワーファリン
b 血小板 ---------------------- EDTA
c プロトロンビン時間 ------ ヘパリン
d 血糖 -------------------------フッ化ナトリウム加EDTA
e 動脈血ガス分析 ----------- クエン酸ナトリウム
結構難しいですよね?
知っているか、知っていないかの知識問題です。
やっぱり丸暗記だと覚えづらいので、出来るだめ機序を考えつつ覚えたいと思います。
さて、ここからが本題です。
採血管の種類と対応する検査についてまとめてみます。
まずは凝固系の確認です。
参考:https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1845
おなじみの凝固系カスケードです。
ちなみに、第Ⅵ因子は欠番です。
採血管に含まれる抗凝固薬の重要な作用機序は2つです。
- Caイオン(第Ⅳ因子)の阻害による抗凝固
- トロンビン(第Ⅱ因子)の阻害による抗凝固
Caイオンの阻害:EDTA-2K、クエン酸ナトリウム
トロンビンの阻害:ヘパリン
採血間は抗凝固薬の有無で2つに分かれ、抗凝固薬は4つあります。
採血管は2種類あります。
- 抗凝固薬なし(プレーン)
- 抗凝固薬あり
そして抗凝固薬は4つあります。
- EDTA-2K
- クエン酸ナトリウム
- フッ化ナトリウム
- ヘパリン
この抗凝固薬の違いと検査項目の対応が、上記の過去問で問われています。
EDTA-2K
EDTA-2Kは検体中のCaイオンを除去することで強力な抗凝固作用を発揮します。
抗凝固作用が強く、凝固系検査に影響が出るので凝固系検査には向きません
Caイオン除去作用でCa値が低く出てしまうこと、EDTA-2K自体がKを含んでいるのでKが高く出てしまうこと、酸性物質でありpHが低く出てしまうことから血液ガスには用いません。
⇨血算等の血液学的検査
クエン酸ナトリウム
EDTA-2Kと同様にCaイオンを除去しますが、その作用はEDTAよりもマイルドです。
遠心操作により血漿を分離して検査に用います。
マイルドな抗凝固作用なので、凝固系検査してもOKと考える。
Ca除去作用でCa値が低く出てしまうこと、クエン酸ナトリウム自体がNaを含んでいるのでNaが高く出てしまうこと、酸性物質なのでpHが低く出てしまうことから血液ガスには向きません。
⇨凝固系検査
ちなみに…
①クエン酸はCaのキレート作用と尿のアルカリ化で尿管結石の再発予防にもなります。
②輸血血液にはクエン酸ナトリウムが入っているため、大量輸血では低Ca血症に注意。
フッ化ナトリウム(NaF)
フッ化ナトリウムの作用は2つあります。
- 解糖系酵素を阻害することでグルコースの消費を防ぐ。(こっちがメイン)
- 少し抗凝固作用もある
血糖検査用の抗凝固剤として単独あるいはEDTA等と混合して用いられます。
血液中のブドウ糖は採血後も血球から逸脱した解糖系酵素により代謝されるため減少していきます。
その作用を防ぎ、血糖値を正確に測定できるようにします。
⇨血糖値測定、HbA1c測定
ヘパリン
ATⅢの活性化により、トロンビンを不活性化させます。
他の多くの抗凝固剤がCaイオン除去により抗凝固作用を発揮しますが、ヘパリンは違います。
Ca除去作用がないのでCa値が低く出ない⇨血液ガスに向いている。
⇨血液ガス、生化学検査
ちなみにプレーン採血管は・・・
抗凝固薬なしのプレーン採血管には何も塗られていないか、または凝固促進薬としてトロンビンなどが塗られています。
⇨生化学検査、免疫学的検査
まとめ
採血管で用いられる抗凝固薬は4つあります。
EDTA-2K:血算などの血液学的検査
クエン酸ナトリウム:凝固系検査、輸血
フッ化ナトリウム:血糖検査
ヘパリン:血液ガス、生化学検査
参考
http://www.jpclt.org/01outline/02.html
http://www.aichi-amt.or.jp/hyojunka/pdf/hyojunka/guide-8.pdf
http://www.jpclt.org/01outline/02.html