多尿の鑑別
国試で大事な鑑別の1つに、多尿があります。
多尿:尿量が3L /日以上
多尿きたす疾患はいっぱいありますが、問われやすいものを挙げてみます。
- 心因性多尿症
- 尿崩症
- 糖尿病
このうち、臨床症状でわかるのが心因性多尿症です。
心因性は、「いっぱい水を飲むからいっぱい尿が出る」という病態です。
水を飲まなければ出ません。
なので夜間頻尿はありません。
夜間頻尿があったら心因性ではなさそうだと考えることができます。
また、精神的なストレスやショッキングな出来事が背景にあったら心因性っぽいです。
続いて、尿検査で尿の濃さ(尿浸透圧)をみればわかるものがあります。
糖尿病は、「尿に糖が出てしまい、浸透圧で多尿」になっています。
なので、尿浸透圧が高いです。
当然、尿糖が(+)になっているはずです。
とりあえずこの2つを鑑別することで、多尿の臨床問題がスッキリします。
そして、残ったのが尿崩症です。
尿崩症は中枢性と腎性があり、治療法が異なります。
ここの鑑別も大事です。
中枢性は、脳腫瘍や外傷などが原因になります。
腎性は腎臓疾患や、低K血症・高Ca血症が原因になります。
特に低Kと高Caは血液検査で見ればわかるので、要チェックです。
バゾプレシン作用の薬(DDAVP)で作用が見られれば(尿浸透圧>血液浸透圧)、
腎性ではなく中枢性だとわかります。
反応がなければ中枢性ではなく腎性です。
中枢性ならばDDAVPの点鼻。
腎性ならサイアザイド。
ともに、水を体内に留める効果を狙っています。
一気に水が体内にとどまると水中毒になるので、
経過観察は体重の推移をチェックします。
【まとめ】
心因性多尿症は夜間頻尿なし
糖尿病性の多尿は尿が濃く、尿糖が出ている
とりあえずこれを覚えておくと、多尿の鑑別が捗りそうです。