医学生投資家あずまのメモ帳。

医学生が気になったことを適当にまとめるブログです。

血液ガス所見の見方。国試的にはこのくらいで十分

 

こんにちは、あずまです。

 

血液ガスの見方をまとめました。

医学生の方は参考にどうぞ。

 

 

 

血液ガスは4つの項目を見るのが大事です。

 

  1. pH
  2. PaCO2
  3. PaO2
  4. HCO3-

 

の4つです。

 

そして、

 

呼吸状態を見たい時

⇨①PaO2、②PaCO2

 

酸塩基平衡を見たい時

⇨①pH、②PaCO2、③HCO3-

 

を見ます。

 

 

 

【呼吸状態を見たい時】

 

低酸素血症の時、見るポイントは2つです。

 

  1. PaCO2が上昇しているか?
  2. A-aDO2が上昇しているか?

です。

 

 

①PaCO2が上昇しているか?

 

低酸素血症(PaO2が低い)に加え、PaCO2が高い場合。

⇨肺胞低換気を考えます。

 

なぜなら、O2よりもCO2の方が拡散しやすいからです。

拡散しやすいと、ガス交換がされやすいです。

 

O2は肺胞まで到達しても、ガス交換が不十分な場合があります。

(換気血流不均等、シャント、拡散障害など)

 

CO2は肺胞まで到達すれば、ガス交換は十分にされます。

 

PaCO2が高い状態

⇨肺胞まで空気が届いていればCO2のガス交換はされるはずなのに、CO2のガス交換がされておらず、PaCO2が高い

⇨そもそも肺胞まで空気が届いていない。

 

ということで

PaCO2が高い⇨肺胞低換気を考えます。

 

 

 

②A-aDO2が上昇しているか?

 

A-aDO2が上昇

⇨肺に問題がある(換気血流不均等、シャント、拡散障害など)

とわかります。

 

まず、覚えなければいけない式があります。

 

PAO2=150-PaCO2/0.8

 

です。

 

PAO2=(肺胞の酸素分圧)

に注意してください。

肺胞です。動脈血ではないです。

 

150=(大気圧ー水蒸気圧)×0.21(大気中の酸素の割合)。計算すると大体150です。

PaCO2=(動脈血二酸化炭素分圧)

呼吸商=0.8(体が酸素を10消費し、二酸化炭素を8生み出した)

 

 

 

 

覚えづらいですが、なんとかしてこの式を覚えます。

そして肺胞の中の酸素分圧(PAO2)を算出します。

 

PAO2が出たら、あとはPaO2を引くことでA-aDO2が出ます。

 

A-aDO2は、肺胞と動脈血の酸素分圧の差です。

 

A-aDO2が高い

⇨肺胞には酸素が届いているのに、動脈血に酸素が届いていない

⇨肺に問題がある(換気血流不均等、シャント、拡散障害など)

とわかります。

 

 

 

【呼吸状態のまとめ】

 

低酸素血症の症例を見たら、まずはPaCO2とA-aDO2をチェックする。

 

臨床問題ではPaO2、PaCO2は書いてあるが、PAO2は書いてないことが多いので、自分でPAO2を算出する必要がある。

 

PAO2=150-PaCO2/0.8で計算する。

 

PaCO2が高い場合は、肺に空気が入っていないため、肺以外の問題を考える。

A-aDO2が高い場合は、肺が悪いので肺の問題を考える。

 

両方高い場合は、肺以外の問題と肺の問題が合併していると考える。

 

 

 

 

 

【酸塩基平衡を見たい時】

 

見るポイントは3つです。

 

  1. アシデミアか?アルカレミアか?
  2. 原因は代謝性か?呼吸性か?
  3. 代謝性アシドーシスならば、アニオンギャップは?

 

①アシデミアか?アルカレミアか?

 

pHを見て判断します。

 

pHが低い⇨アシデミア

pHが高い⇨アルカレミア

 

単純ですね。

 

 

②原因は代謝性か?呼吸性か?

 

PaCO2とHCO3-を見て判断します。

 

酸塩基平衡は

PaCO2が高いと酸性に傾き、低いとアルカリ性に傾きます。

HCO3-が高いとアルカリ性に傾き、低いと酸性に傾きます。

 

 

アシデミアであった場合、

原因は代謝性アシドーシスか呼吸性アシドーシスです。

 

HCO3-が低い⇨代謝性アシドーシス

PaCO2が高い⇨呼吸性アシドーシス

 

 

アルカレミアであった場合、

原因は代謝性アルカローシスか呼吸性アルカローシスです。

 

HCO3-が高い⇨代謝性アルカローシス

PaCO2が低い⇨呼吸性アルカローシス

 

 

となります。

初めて見るとわけわかんなく感じますが、そのうち慣れます。

 

 

 

ここで、1つポイントがあります。

 

それは「代償」です。

人の体は酸塩基平衡が崩れると、なんとか補正してpHを正常範囲に近づけようと頑張ります。

その働きが代償性アシドーシスまたは代償性アルカローシスです。

 

例えば、代謝性アシドーシスでHCO3-が下がったら、代償性に呼吸を早くしてPaCO2を下げることで、呼吸性にアルカローシスに近づけようとします。

 

代償は、「pHを正常範囲に近づくように働くが、正常にはならない。」

ことが大事です。

 

pHを見て「アシデミアだ!」と気付き、

その後PaCO2とHCO3-を見ます。

代謝性アシドーシスであれば、HCO3-は大きく下がっており、PaCO2は少し下がっています。

呼吸性アシドーシスであれば、PaCO2は大きく上がっており、HCO3-は少し上がっています。

 

つまり

原因が単一の場合には、PaCO2とHCO3-は同じ方向に動きます。

両方上がるか、両方下がるかです。

 

 

代謝性アシドーシスならば、アニオンギャップは?

 

代謝性アシドーシスの場合、アニオンギャップを調べることで鑑別診断が捗ります。

 

まず、この公式を覚えなきゃいけません。

 

アニオンギャップ=Na - (Cl+HCO3-)

 

です。

 

体の中は陽イオンと陰イオンがきっちり同じ数あるようにできています。

 

ざっくりですが血液は、

陽イオンは全てNaで

陰イオンはClとHCO3-と一部の陰イオン

で構成されていると考えます。

 

一部の陰イオンを、アニオンギャップと呼んでいます。

(一部の陰イオンは、ケトンや乳酸などがあります。)

 

Na=Cl+HCO3-+アニオンギャップ

が成立します。そこから、

 

アニオンギャップ=Na - (Cl+HCO3-)

 

が成り立ちます。

 

アニオンギャップが大きい場合

⇨「ケトンや乳酸などの陰イオンが増加している」とわかります。

⇨鑑別に役立ちます。

 

ケトアシドーシス⇨ケトン体が増加

乳酸アシドーシス⇨乳酸が増加

腎不全でもアニオンギャップは増加します。

 

排泄されにくそうなものが溜まっている様子をイメージすると覚えやすいです。

 

 

アニオンギャップが正常な場合

⇨「一部の陰イオンが増加しているわけではない」とわかります。

⇨除外診断として役立ちます。

 

 

 

 

 

代謝性or呼吸性+アシドーシスorアルカローシスの組み合わせには典型例があります。

その典型例を覚えることで、国試問題はサクッといけることが多い気がします。

 

 

代謝性アシドーシスの原因

アニオンギャップ増加⇨乳酸アシドーシス、ケトアシドーシス、腎不全

アニオンギャップ正常⇨下痢、尿細管性アシドーシス

 

呼吸性アシドーシスの原因⇨低換気

 

代謝性アルカローシスの原因⇨嘔吐、利尿薬

 

呼吸性アルカローシスの原因⇨過換気

 

 

 

 

嘔吐と下痢を間違えて覚えてしまいそうですよね。

 

嘔吐⇨胃酸を失う⇨H+を失う⇨代謝性アルカローシス

下痢⇨腸液を失う⇨HCO3-を失う⇨代謝性アシドーシス

 

と考えると覚えやすいです。

腸液は、胃酸を中和するためにアルカリ性になっていると考えます。

 

 

【酸塩基平衡のまとめ】

まず症状と血液ガス所見から、

代謝性・呼吸性+アシドーシス・アルカローシスを判断。

 

代謝性アシドーシスなら、アニオンギャップを求める。

アニオンギャップ=Na - (Cl+HCO3-)    

 

典型例のどれに該当するか当てはめる。

 

 

 

 

 

【全体のまとめ】

 

呼吸状態が悪い時には、PaCO2だけじゃなくてA-aDO2もみる。

そのためには、PAO2=150-PaCO2/0.8 を覚える

 

酸塩基平衡を見る時は、典型例のどれに合致するかを考える。

代謝性アシドーシスなら、アニオンギャップを計算する。

そのためにはアニオンギャップ=Na - (Cl+HCO3-)を覚える

 

 

個人的には、国試はこれくらいで十分だと思います。。。